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星になった魂


1月6日 ショウちゃんが死んだ。
気が付いたときには既に冷たくなっていた。夜中の12時ごろだった。
寒くなって餌の時間になっても中々巣から出てこない日が続いていた。2歳を過ぎ足腰も弱って目も殆んど見えていなかった。飼育書を読んでみると年になると白内障が進んで見えなくなると書いてあった。ハムスターは視力にもともと頼っていないと書いてもあったのだが。
この冬は危ないかもしれない。
そう感じることはしょっちゅうあった。ハムスターの寿命はもともと2年くらいだ。3年持てば御の字。しかし多くの場合2歳を迎えることなく死んでしまうという。
ショウちゃんは2年3ヶ月生きた。
ペットショップで購入したので正確な誕生日は分からないが2001年の10月の終わりに飼い始めた。その時点で離乳したばかりの3週間ほど。逆算して10月頭に生まれたのだろうと予測できる。

最近、とても元気だった。自分が年寄りだと思っていないらしく、平気でゲージをよじ登り、ウンテイをして遊んでいた(勿論止めさせようとしたけど)。外に出たいと要求し、出してやると巣に帰りたいと要求する。餌は自分の好きなものがないともらえるまで入り口に張り付いている。とても元気だった。
確かに老化の影響で1日中寝ていた。行動が遅くなった。足腰が弱り高い場所に上るのに一苦労していた。
でもあまりにもあっけなかった。
死に目に立ち会うことが出来なかった。看取ってやることが出来なかった。
ショウちゃんは1匹で死んだ。
いつものように餌をあげようと用意をして呼ぶ。最近は耳も遠いのか中々すぐには出てこない。でも匂いがするのかもそもそと起きてきて食べ始める。それがいつもの光景だった。

でもこの日は違った。
呼んでも全然起きてくる気配がない。巣材もピクリとも動かない。聞こえないかと思って大好きなクルミを巣に近づける。反応はない。
背中がすっと寒くなった。
名前を呼びながら巣材をちょっとずつ避けていく。熟睡していて気が付かないのかも。前にもそんなことがあって巣材を剥いだら怒っていたっけ…。
沢山の巣材の中にショウちゃんはいた。丸まっていた。目を瞑っていた。
しかしその身体は既に冷たくなっていた。
すぐには触れなかった。正直言って怖かった。ショウちゃんが死んでしまったことを触感で認めてしまうようで触れることが出来なかった。
名前を呼ぶ。反応はない。心臓は動いていない。
そっと触ってみた。あまりにも冷たくて驚いた。いつものショウちゃんの感触とまったく違っていて思わず一瞬手を引っ込めた。毛を撫でてみる。柔らかい毛の感触は変わっていない。ただ冷たいだけで。
抱き上げてみた。冷たい感触は変わらない。
硬直は始まっていなかった。まだ身体は柔らかかった。
えさ箱を見るといつもと同じくらい減っていた。いつものように大好きなクルミばかり先に食べてハムスターフードは後に食べようと思っていたのだろう。少しだけ残っていた。
本当にいつものように生活していたのだ。
いつものように夜起きて、好物のクルミを食べて、ちょっとお腹がふくれてので一休みしようと巣に戻って眠りに付いたのだろう。

そしてそのまま。

とても安らかな顔をしていた。苦しんだ様子は見られなかった。きっと眠ったまま息を引き取ったのだろう。
本当のところは分からない。私がそうだと思いたかったのかもしれない。でも真実が分からない限りそう思っていないとショウちゃんが可愛そうに思えた。苦しんで苦しんで死んでいったと思いたくなかった。
次の日の夜近所の土があるところにショウちゃんを埋めた。墓標は立てない。すぐ近くに大きなゼラニウムが生えていて花を咲かす。きっとショウちゃんにも見えることだろう。

幸せだったかい?と問いかけたい気持ちと聞いてはいけない気持ちと揺れ動いている。答えはきっと私が満足するものでしかないから。自問自答してもそれはショウちゃんの答えではないから。天国があるとすればそこで幸せになってほしい。
ショウちゃんに思うことは今はただそれだけ。
ただひとつ言えることはこの2年3ヶ月。私は幸せだった。血が出るほど噛み付かれたこともあったけど一緒に生きてこられたことを感謝しています。
さようなら、ショウちゃん。